る小説家|安藤盛《あんどうさかん》酋長から、桔梗色の海と、青い島と、孔雀がそこら中を飛び※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つてゐるのと、五色の虹の空のことを聽いたばかりだつたので、
 ――ニユージーランドではね、女もまるはだかの島があるのだつて、おふんどしは、女も木の葉だつて。
 ――は、これはまた、とんだ事をいひだした。
 さうはいふが、畫孃《ぐわぢやう》も、聽いてゐる三上も、さういふ話は別の意味で好んでするのだ。
 ――でね、女が裸で、トカゲや蛇を生で食べてるのだつてさ。文明國の女は、生膽《いきぎも》は食はないが、心臟《こゝろ》を食ふとはいへるけれどね。
 ――壯快だなあ、なあに、鯉の生作《いけづく》りだつて、仕事がキレイなだけだもの、太古《たいこ》は鰻だつて生で横つかじりにしたかもしれやしない。考へてごらんなさい、牡蠣だつて章魚だつて、誰もいふが、食《た》べだした奴は豪傑です。
 ――火食鳥の卵が好きだつてさ。
 ――今に、南洋産火食鳥の卵の新鮮なのがありますと、銀座あたりで賣出すかも知れない。
 その、まるはだか美人が來て宣傳するかも知れないが、まるはだかでなければ意味
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