の挿話へのツナガリ等には相当注意を払ったつもりでしたが、所詮は小刀細工です。あれは、最初の水道樋の挿話を物語の最後にするか、若しくは以後のいくつかの挿話を最初の挿話の中に織り混ぜるか、するのが本当でした。
 と、気がついたのが、あの写真をツクッて半年も経った後に、しかも先輩に教えられ初めて、それと悟りました。「シナリオは先ず構成」です。わかりきった事がわかる迄に随分苦労します。
 第二は、内外優秀脚色家。
冗談言ってはいけません。斯んな事は僕達より、旬報さん、あんた方の方がよく御存じです。
 第三は好きな脚色家。
アメリカのほん屋でオリヴァ・ギャレット、グロバー・ジョンス、ヴィンセント・ローレンスあたりです。
 序にあちらでは一本のシナリオを二人が、時としては三人四人が協同で書き上げているのを屡々見受けますが、アメリカ映画のシナリオの明朗さ、洒落気、と云いますか、あの奔放自在に与太が乱れ飛ぶところは、勿論アメリカ人の国民性にも起因するでしょうが、あの数人が協同で脚色すると云う事にも、多少は原因して居るのでは無いかと思われます。
 実は先日、僕の住んで居る鳴滝村のホン屋連中が数名協同して
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