る。
 右門伝六に命じて別の舟で追っ掛ける。
 逃げる舟を追う右門の舟追っ掛け若干あって、

14=別の橋の附近
 伝六やいのやいの。
T「待てと言ったら待たねえか」
 逃げる船頭が、
T「人に喋るとあの男の様になります」
T「罰が当ります、罰が」
 その舟が橋の下へ来た時、
 橋の上の欄干に凭れた深編笠の侍が居る。
 その侍の足許の大きな石。
 船頭の舟がその真下を通る。
 侍が石を蹴落す。追って来た舟の上の右門「アッ」と叫んだ。船頭が顔中血だらけになってブッ倒れた。
 橋の上を――逃げる深編笠の侍。
 右門、伝六に追えと命じ、己れは船頭の舟に飛び乗る。川端を逃げる深編笠の侍。
 伝六舟を岸へ着けて川端を追う――
 右門船頭を抱き起した。船頭が断末魔。
T「罰が当ッたんです、罰が」
 と言った。
 川岸――
 逃げる深編笠を追う伝六。
 敬四郎と松公、裸で着物を乾して居る。

15=川端の寺のある処
 深編笠の侍は其処の土塀を飛び越えて姿を消す。伝六チラと其の姿を見て、続いて寺院の中へ忍び込む。

16=墓場
 伝六探し廻る。編笠が其処に落ちて居る。二三間離れて例の侍の着て居た羽織が
前へ 次へ
全29ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
山中 貞雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング