処に居るのか分らんじゃ無いか」
 「馬鹿ねえこの人は」
 とお兼。
T「甲州街道へ女を連れて逃げたんです」
 敬四郎喜んだ。
T「右門はまだその事を知るまいね」
 「何言ってんのさ、あの人はもうとッくに出発しましたよ」
 それは大変と敬四郎と松公慌てて走り去る。
 「本当に仕方が無いね」
 とお兼が見送った。
                  (F・O)

71=(F・I)街道
 右門と伝六とおふみ呑気そうに旅に出た。
 道傍に小供が五六人集まって何か悪戯をして居る。何んでしょうと伝六覗きに行こうとするのを右門はそのまま先に行く。
 「一寸待って下さいよ」
 伝六覗き込んでワーと叫んで逃げ出した。
 小供は蛇をオモチャにして居たんです。
                  (F・O)

72=(F・I)街道
 敬四郎と松公が行く。
                  (F・O)

73=(F・I)結城左久馬邸内
 左久馬が十人ばかりの若侍を呼んで、
T「昨夜の事、お上に知れては身共の首が危ない」
 と言って、
T「右門を殺して呉れ。頼む」
                  (F・O
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