乞食の子も孫もある彼岸哉
踏青や裏戸出づれば桂川
古雛の衣や薄き夜の市
盃の花押し分けて流れけり
堀止めのこゝも潮干や鰌掘り
出代りて此処に小梅の茶見世かな
涅槃繪の下に物縫ふ比丘尼哉
曇る日や深く沈みし種俵
衣桁にも這ふ蚕に宮の御笑ひ
行雁や射よげに飛んで那須の原
あちこちと鶯飛ぶよ芝広し
鶯や折り焚く柴に夜を啼く
二羽打ちて啼かずなりたる雉子哉
柳鮠かき消すごとく散りにけり
汁椀に大蛤の一つかな
雲雀落つ影も夕日の田毎哉
子雲雀や比叡山おろし起ちかぬる
苗代の水の浅さよ蛙の背
野の梅や折らんとすれば牛の声
垣越えて梅折る人や明屋敷
夕日や納屋も厩も梅の影
灯ともして夜行く人や梅の中
荷車の柳曳きずる埃かな
うたゝ寝の覚むれば[#「うたゝ寝の覚むれば」は底本では「うゝた寝の覧むれば」]桃の日落ちたり
奈良坂や桜に憩ふ油売
さくら折つて墓打ちたゝく狂女かな
北面に歌召されけり梨の花
足伸べて菜の花なぶる野茶屋哉
菜の花の行きどまりなり法隆寺
躑躅ぬけば石ころ/\と転がるよ
  京都へ嫁入る女子に
暖き加茂の流れも汲み習へ
  亡児惟行が記念の帛紗に
  為山が藤の花画きたれば
行き行き
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