へ着いた。ここには大勢の人に出迎われて、親戚もあれば旧友もあり、多方面の人々であったが、こんな時には哲学で悟を開いた私もやはり訳もなく嬉しい。その晩は従弟で医者である天岸一順の宅へ落着いた。この後ちはこの宅と娘婿の山路一遊の宅とあちらこちらと止宿して、二週間ばかりも滞在したのである。そこでその翌朝からは殆ど間断なく来訪者があって、久濶を話し合うのでいよいよ嬉しくも珍らしくも感じたが、また随分と疲労も覚えた事である。或る日は婿の一遊が松茸狩りに連れて行こうというので、城下からつい二里半ばかりの平井谷というへ汽車で行って、松茸を取った、尤もこれは、山主が予て囲って置いて、それを勝手に採らせて、採った松茸は秤で量って値を取るのである。だから別に捜さないでも松茸は一面に生えているので、いわゆる茸狩という興味はない。けれどもその取ったままの茸を山中の池の堤で石の竈で煮たり焼いたりして、酒を飲み飯を喰う、それだけはちょっと普通の家屋で喰うよりは興味があるのである。
 いよいよ除幕式の日になったので、その日は電車で道後公園へ行ったが、妻及び私の親戚は凡て賓客として待遇せられて、予てこの建碑に厚意を寄
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