軍が占領したので、山本旅団長は副官を従えて砲台を見聞した。惟行も好事心から一緒に行ったが、前面の敵から狙撃されて、山本氏は弾に当って即死した。惟行も戎服の裾に弾が通ったが幸に怪我はせなかった。その後旅順方面で彼の穴籠りなどもして、砲丸の下に往来した末が、旅順の陥ると共にまた奉天から鉄嶺を越して、何とかいった地方までも従軍した。この通訳官は中途から辞職して帰った者も多かったが、忰は幾らか辛抱強いので、一度かなりな大病をしたのも押して務めて終に、出征軍の凱旋と共に帰朝した。一体惟行は私とは違って学問などするよりも、何か金儲けでもして成り立とうという野心を持っていたので、支那の在陣中も機会があれば、支那の有力者などとも交っていたのであるが、この凱旋して間もなく正金銀行に採用されて支那の支店へ行く事になった。そこで北京に居るのだから、支那人との交際も多くなり、一層支那語の研究もする事が出来た。そして支店長の実相寺氏等にもかなり愛されていたので、なおよい機会があらば何か一つの仕事を見付ようとしていたのであるに、支那人との交際には食卓を囲んで互に一つ器の食物を匙で喰い合うような事から、終に肺病の黴
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