けた。そこで我藩は完く孤立無援の地に立ったので、このまま防戦しても遂には落城して、君臣共に討死するということはモウきまっている。そこでその少数ながらも藩の四境を固める兵員を配置して、それらがなかなかの騒ぎであった。その中まず土州軍は久万山まで侵入して、恭順するか防戦するかその決答を聞きたいという公文を送り越した。しかるにこの際我藩は俄《にわか》に態度が変じて、この土州軍に向って恭順を表するということになった。後に聞くと土州は右の如く公文を送ったにかかわらず、別に金子平十郎等の内使を以って、我藩の要路者に面談したいと申し来った。そこで最初は道後町において目付の二、三人が応接し、次に味酒神社の社宅において家老鈴木七郎右衛門その他が応接したが、土州の内使の口上には、山内家と松平家とは従来親族の間柄でもあるから、この度の事変は土佐守及容堂の非常に心配さるる所である、而して今日の如く薩長が横暴を極めていては、このまま捨ておかれぬから、早晩土州藩は起て諸藩を糺合してそれを掃蕩せねばならぬ。その際は是非とも貴藩と提携せねばならぬから、それまでは暫く隠忍して恭順を表せられたいというような意味であって、
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