叙し得たと信ずる。
三 文中に現今七十四歳[#「現今七十四歳」に白丸傍点]とあるは、談話もしくは修正の当時における年齢である。
四 意義に害なき誤字は発行を急ぎし故そのままにしたるものも少なくない。
五 附録の句集は松浦為王氏の選択に任かせたものである。
[#ここで字下げ終わり]

  大正十一年三月
[#地から3字上げ]鳴雪識るす
[#改丁]

[#ページの左右中央]
      目次

     緒言
    自叙伝
     附録 鳴雪俳句抄録
[#改丁]
[#ページの左右中央]
   自叙伝[#地から13字上げ]内藤鳴雪
[#改ページ]

   一

 私の生れたのは弘化四年四月十五日であった。代々伊予松山藩の士で、父を内藤房之進|同人《ともざね》といった。同人とは妙な名であるが、これは易の卦から取ったのである。母は八十《やそ》といった。私は長男で助之進といった。その頃父は家族を携えて江戸の藩邸に住んでいたので、私はこの江戸で産声をあげたのであった。幕府の頃は二百六十大名は皆参勤交代といって、一年は江戸に住み次の一年は藩地に住んだ。そして大名の家族は江戸に住んでいた。それに準じ
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