とりと化粧されたる
ひとつの白い額をみる
ちひさな可愛いくちびるをみる
まぼろしの夢に浮んだ顏をながめる。
春夜のただよふ靄の中で
わたしはあなたの思ひをかぐ
あなたの思ひは愛にめざめて
ぱつちりとひらいた黒い瞳《ひとみ》は
夢におどろき
みしらぬ歡樂をあやしむやうだ。
しづかな情緒のながれを通つて
ふたりの心にしみゆくもの
ああこのやすらかな やすらかな
すべてを愛に 希望《のぞみ》にまかせた心はどうだ。
人生《らいふ》の春のまたたく灯かげに
嫋めかしくも媚ある肉體《からだ》を
こんなに近く抱いてるうれしさ
處女《をとめ》のやはらかな肌のにほひは
花園にそよげるばらのやうで
情愁のなやましい性のきざしは
櫻のはなの咲いたやうだ。
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軍隊
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