カル》な精神とが、全く同一線上のものに属することは、大概多くの詩人が、この両面の詩情を一人で兼ねている事で解る。例えばゲーテ、シルレル、バイロン、ハイネの如き、何れも情緒|纒綿《てんめん》たる恋愛詩の詩人であって、同時に一方でヒロイックな叙事詩を書いている。のみならず、ハイネやバイロン等の如きは、一方で恋をしながら一方で義人の如く戦っていた。ニイチェに至っては、その最も典型的な例であって、彼の妹にあてた書簡の如き、真の女性的愛情の優しさを尽している。故に公理を言えば、善き抒情詩《リリック》の作家のみが、善き叙事詩《エピック》を書き得るのである。

 自殺した芥川龍之介は、純一なる小説家でかつ芸術至上主義者であったけれども、一方ではこれによって、ヒロイックな叙事詩を書こうと企てたのである。著者がかつて他の論文で、彼を「詩を欲情する小説家」と言ったのはこの為だ。
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     第十二章 日本|詩歌《しいか》の特色


 以上|吾人《ごじん》は、主として西洋の詩について叙述してきた。次に我々自身のもの、日本の詩について述べねばならぬ。もとより詩の原理するところは、東
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