章 韻文と散文
第二章 詩と非詩との識域
第三章 描写と情象
第四章 叙事詩と抒情詩
第五章 象徴
第六章 形式主義と自由主義
第七章 情緒と権力感情
第八章 浪漫派から高蹈派へ
第九章 象徴派から最近詩派へ
第十章 詩に於ける主観派と客観派
第十一章 詩に於ける逆説精神
第十二章 日本詩歌の特色
第十三章 日本詩壇の現状

    結論

島国日本か? 世界日本か?
『詩の原理』の出版に際して
[#ここで字下げ終わり]
[#改丁]

   概論



     詩とは何ぞや


 詩とは何だろうか? これに対する答解は、形式からと内容からとの、両方面から提出され得る。そして実に多くの詩人が、古来この両方面から答解している。もしこれ等の答解にして完全だったら、吾人《ごじん》はそのどっちを聞いても好いのである。なぜなら芸術に於《お》ける形式と内容の関係は、鏡に於ける映像と実体の関係だから。
 しかしながら吾人は、そのどっちの側からの答解からも、かつて一つの満足のものを聞いていない。特に内容からされたものは、一般に甚《はなは》だしく独断的で、単に個人的な立場に於ける、個人的な詩を主張してい
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