「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]画を依頼する人を物色して居た際なので、この新らしい知己を得た悦びは一層深甚なものであつた。まもなく恩地孝氏の紹介によつて私と恭吉氏とは、互にその郷里から書簡を往復するやうな間柄になつた。
幸にも、恭吉氏は以前から私の詩を愛読して居られたので、二人の友情はたちまち深い所まで進んで行つた。当時、重患の病床中にあつた恭吉氏は、私の詩集の計画をきいて自分のことのやうに悦んでくれた。そしてその装幀と※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]画のために、彼のすべての「生命の残部」を傾注することを約束された。
とはいへ、それ以来、氏からの消息はばつたり絶えてしまつた。そして恩地氏からの手紙では「いよいよ恭吉の最後も近づいた」といふことであつた。それから暫らくして或日突然、恩地氏から一封の書留小包が届いた。それは恭吉氏の私のために傾注しつくされた「生命の残部」であつた。床中で握りつめながら死んだといふ傷ましい形見の遺作であつた。私はきびしい心でそれを押戴いた。(この詩集に※[#「插」でつくりの縦棒が下に
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