彼等が強制にやつて土地收用規則を用ゆる、愈々人數が少數になつたから土地收用規則を用ひて賣らぬ奴を買上げる、成程土地收用規則も用ゆべき所には用ゆるでございませうが、今日表面の口實は谷中村の人民が困るから災害補助費の方で救つてやると云ふ、助けてやるのだ故に之を買收と云はぬで補償と云ふ、助けてやる救濟金だとまで云つて居る、救濟はしてやるが金は御免を蒙る、土地收用規則でフンダクル、餘り「ロジツク」に合はぬ話でございませぬか、(笑聲拍手起る)土地收用規則を用ゆると云ふならば何故に帝國議會に於て之を議さなかつたか、議會では唯だ、富山縣災害補助費、岡山縣災害補助費、其眞ン中に栃木縣災害補助費と、似たやうな名を書いて、此間議論をなされたのは武藤金吉君島田三郎君其他豫算委員が之に氣が付いて帝國議會で御論をなすつた、内務大臣が之に答へて演説をしたのも此二十二萬圓の金は皆谷中村の工事費と思つて議論をして居る、だから内務大臣も盡く金の性質を知つて議論をしたのでない、二十二萬圓の金を下げるのは助ける爲め下げる、之は栃木縣全體に割付になるので谷中村には十二萬圓しか來ない、即ち二十二萬圓の金は谷中村を助ける爲にする
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