繕費が必要だ、斯う云ふ調査を拵へてさうして之を内務大臣に見せた、内務大臣驚いた、時は恰も戰爭中である、戰爭中タツタ一ヶ村を防ぐ堤防を拵へるに百二十萬圓、こんな馬鹿なことをやつて居られるものでない、さりとて人民は水の中に今日は飮まず食はずに居る譯であるから谷中の人民をどうさしたら宜からうか、さうなれば先づ安き補償金を與へて人民を餘所へ移したら宜からうと云ふ御決心に内務省はなつたと云ふこと、之は今日まだ土木をして居る土木課長の某が明に村會議員二三名總代二名私と、警察官は立會はせませぬが縣會議員を立會しての話である、此土木の話に斯うです、私は來た計りでございまして茨城の方から廻つて來た計りで、栃木の谷中村の事情は存じませぬが、書いた上の御話をすれば始り十萬圓掛けたが效能がない、十萬二十萬ではいかぬと云ふので調べたら百二十萬と云ふものが出た、此上に年々修繕費を加へたら安全だらうと云ふので東京へ要求したが、それ丈の金は掛けることはいかぬと云ふので二十二萬圓と云ふ金を國庫から貰つて、此方から二十六萬圓加へて四十八萬圓にして先づ人民を救ふ手段にしましたと云ふ話をしました、之は明に證人のあることで、此
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