て居る、人民を買收事務所へ呼付けて堤防は築かない、貴樣等村に居る中は駄目であるぞ、賣れ、畏りましたと云つて賣つて仕舞ふ、是等は賣らぬと云ふ人に對する處置、さうして百姓の農業を妨害し、百姓は折角仕付けても堤防がなければ水が這入りますから麥も稻も取れませぬから躊躇する、一町植へるのを五反で止めます、麥も一町の所を五反で止めますから空地がございます、それでも麥を蒔いた所は立派な所になつて居ります、官吏が先立をして作物を仕付けるなと云ふことを怒鳴り散して歩くと云ふことは、諸君どうでございませう、例へ谷中村を水を溜める所にするにせよ、人民の居る中は堤防は必要と極つて居る、人民はさなくても水鳥でもない、作物を取れば何の害があるか今から五十日經てば麥になる、前に取つたのは食べて仕舞つた、植付けてありますのは是から五十日經たなければ食へぬと云ふ麥になつて居る、併ながら堤防がございませぬから是から雪解け水が來るから這入るに極つて居る、微かなる堤防を築いて呉れ、給[#「給」に「〔急〕」の注記]水止を築いて呉れと云つて何遍願つても出來ませぬ、其中に水がやつて來ますから人民の中から錢を出し合つて僅なものを造つ
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