普請を始め色々心を用ひる、宮中を御怨み申す者は一人も無い。然るに此の如き場所に往つて、鑛毒を除くことの出來ない麓の、顏の瘠せて居る人民の所に菌狩の御案内をするに至ては、實に左右の者共に於ても綺麗な奴ばかり居ると云ふ譯には行かないのである。諸君、是は皇室の御爲に諸君に御訴へ申して置くのでございます。又た今日の内閣大臣諸君にも以後の所は十分御警戒あつて然るべき事と存じますからして能く御記憶御注意なさるが宜しい。
 吾々が初め鑛毒の事に就て政府に忠告を致し質問を致したのは廿四年で、其時の鑛毒地は千六百餘町歩。然るに彼れの此れのと遁辭を構へ、或は學者の力に依て鑛毒を無くするとか、或は機械の發明に依て鑛毒を流さないとか、三度まで嘘を吐いて、其中に今日は三萬餘町の廣さに及んだ。是でも未だ何か學者の力を藉りるとか機械を据付けて毒を流さぬ樣にすると云ふやうな頭を持つて居るものと見へる。然らざれば質問書の出ない前何故に鑛業を停止してしまはないか。吾々の質問は、發いて以て快とするに非ず、事實が已むことを得ないから之を訴へるのである。最早議會も六十日以上經つた今日になつて質問しなければならぬからするので、敢
前へ 次へ
全44ページ中42ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
田中 正造 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング