大つごもり
樋口一葉

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)師走《しはす》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十二|尋《ひろ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「研のつくり」、第3水準1−84−17]處《そこ》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ゆう/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

       (上)

 井戸は車にて綱の長さ十二|尋《ひろ》、勝手は北向きにて師走《しはす》の空のから風ひゆう/\と吹ぬきの寒さ、おゝ堪えがたと竈《かまど》の前に火なぶりの一分は一時にのびて、割木《わりき》ほどの事も大臺《おほだい》にして叱りとばさるゝ婢女《はした》の身つらや、はじめ受宿《うけやど》の老媼《おば》さまが言葉には御子樣がたは男女《なんによ》六人、なれども常住内にお出あそばすは御總領と末お二人、少し御新造《ごしんぞ》は機嫌かいなれど、目色顏色呑みこんで仕舞へば大した事もなく、結句
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