むか》しは我《われ》も昔《むかし》と思《おも》へど良之助《りやうのすけ》お千代《ちよ》に向《むか》ふときはありし雛遊《ひなあそ》びの心《こゝろ》あらたまらず改《あらた》まりし姿《すがた》かたち気《き》にとめんとせねばとまりもせで良《りやう》さん千代《ちい》ちやんと他愛《たあい》もなき談笑《だんせふ》に果《は》ては引《ひ》き出《だ》す喧嘩《けんくわ》の糸口《いとぐち》最早《もう》来玉《きたま》ふな何《なに》しに来《こ》んお前様《まへさま》こそのいひじらけに見合《みあは》さぬ顔《かほ》も僅《はつ》か二日目《ふつかめ》昨日《きのふ》は私《わたし》が悪《わ》るかりし此後《このご》はあの様《やう》な我儘《わがまゝ》いひませぬ程《ほど》におゆるし遊《あそ》ばしてよとあどなくも詫《わ》びられて流石《さすが》にをかしく解《と》けではあられぬ春《はる》の氷《こほり》イヤ僕《ぼく》こそが結局《けつきよく》なり妹《いも》といふもの味《あぢ》しらねどあらば斯《か》くまで愛《あい》らしきか笑顔《えがほ》ゆたかに袖《そで》ひかへて良《りやう》さん昨夕《ゆふべ》は嬉《うれ》しき夢《ゆめ》を見《み》たりお前様《まへさ
前へ
次へ
全19ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
樋口 一葉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング