城野信夫」の二題を演じ、其帰途福島市に立寄り、福島民報社長|中目《なかのめ》氏と福島ホテル主人杉山氏との両氏に案内されて、飯坂摺上川の上流、穴原という幽閑の温泉場に行き、吉川屋畠氏方に籠居して執筆する事となった、楼は鬼斧の断崖に対し、眼下に碧流の深潭あり、鳥語水声を聴くのみ、加うるに秋涼の好季、其快適いうべからず、此処に淹留五日、脳を清泉に洗い、想を巌上に練りつつ、起きて書き臥して書き、昨春以来癪に支《さ》えつつ筆執る暇を得なかった円本ブッタタ記、これを思うままに草し了った時の胸のスガ/\しさ、近来にない快感であり満足であった
著者本来の性格に対する世評は既に/\毀誉相半である、本書亦其毀誉相半の批評を受くれば、著者の本懐これに過ぎない、サヨナラ

昭和三年十月十五日印刷納本
昭和三年十一月一日形式発行
一円本流行の害毒と其裏面談 定価金十銭也

著述者発行者印刷者兼全責任者 
東京市本郷区向ヶ丘弥生町二番地
東京帝国大学 明治新聞雑誌文庫主任者
戯称 廃姓外骨再生外骨 (宮武)外骨 是本名也
讃岐平民 慶応三年正月生
電話小石川 二六九番
新著和本出版半狂堂洋本出版有限社主人

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