、漉返しに送りたい不用の紙屑だ」とすればよいとこ「素晴しい盛況、印刷製本の能力及ばざる時は期日前に〆切るやも知れず」とホザイてるには呆れる、早く〆切ったが両方のタメだろう

一年半前に於ける著者の予言的中記
今より一年五ヶ月前、即ち昭和二年五月、大阪にて発行せし『奇抜と滑稽』第一号四頁に、左の如く記述して、円本流行を痛撃した事があった、専断的の批判と予言、果して的中したか否かを見て貰いたい(順序も字句も原文のままで改削更になし)
「ナント皆さん、ヘンな事がハヤリ出したではありませんか、出版界の資本主義化実現だと云って居る人もありますが、ヤリクリ算段で一儲けしようとする類人猿も多いのですから、今後の成行が見ものであるに違いないと思います
此全集の全集編纂は竹亭子と協議で聊か考慮したものです、批評的の題名は現実観、其当否に異論もありましょうが、予断的の題名が果して的中するか否かは、ココ数月の内に決する事、徒らの嘲罵と見ないで来る時をお待ち下さい(骨)

全集の全集
世界大皮相全集  現代人真似全集
現代大衆文盲全集  日本愚筆全集
誤字誤訳全集  駄法螺宣伝全集
見本立派全集  内容空疎全集
旧版丸抜全集  粗製濫造全集
盲目千人全集  衆愚雷同全集
新聞社大儲全集  安かろう悪かろう全集
予約者後悔全集  不読ツンドク全集
古本洪水全集  縁日安売全集
予想裏切全集  中途ヘコタレ全集
紙屋踏倒全集  発行元夜逃全集

右の前半、一の『世界大皮相全集』より十の『粗製濫造全集』に至るまでの批判的題名は、其後の世評と其実物の公正査定によって、悉く異論なしとする所であろう
次に中間の『盲目千人全集』と『衆愚雷同全集』は、大衆の文盲と其雷同性にて予約者と成り破約者と成った其後の事実が証明して居るから、これも首肯すべき題名であろう、其三の『新聞社大儲全集』は、一頁千円二千円三千円の高額を貪る広告料の収入増大は云う迄もあるまい、殊に昨年九月十月頃には前例なき二頁続きの大広告もあり、一頁半頁の広告で毎日泥仕合をするなど、新聞社としては創業以来未曾有の増収であった、其四の『安かろう悪かろう全集』は昔から動かぬ格言で、今更解説する迄もなく、今更例示する迄もあるまい
次に後半の予言的八題に就ては、条を逐うて其予言的中の大自慢をする
『予約者後悔全集』 コンナ面白くないもの、コンナわけの判
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