保の頃に、明らかに鼻音のガ行音があり、また、ヒ音がシ音に近かったのである。
 ニ 連音上の法則の変遷
 (一) ハ行音が変化して、現今のような音(hではじまる音)になった後も、語頭にのみ用いられることはかわらない(ただし、複合語などの場合には多少の例外がある)。
 パ行音が語頭にも用いられるようになった。第二期においては本来の国語では擬声語のほかはパ行音が語頭に来ることはなかったが、しかし、西洋と交通の開けた結果、西洋語が国語中に用いられたため、多少パ行音ではじまる語が出来たが、この期においてことに明治以後、多くの西洋語を国語中に用いるようになって、パ行音を語頭に用いることが多くなったのである。
 ガ行音が語頭以外において鼻音のガ行音に変化したため、ガ行音は語頭にしか来ないことになった。
 (二) 入声の音がツ音に変じた結果、tが語尾に来ることはなくなった。
 (三) ンの場合の連声《れんじょう》は追々行われなくなって、ただ、「親王」「因縁」「輪廻」のようなきまった語のみに名残をとどめるに過ぎない。しかし、これは江戸時代前半は相当に行われたので、ことに助詞「を」の場合には享保頃までもノ
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