の類別があるかが判るようになったのであります。
けれども、これは多くの万葉仮名の中の一部分に過ぎないので、その他の部分についてはまだそういう風な調べをしたものがなかったのであります。いや無かったと考えられていたのであります。ところがこういう風の調査をあらゆる万葉仮名についてしたものがあったことがわかったのであります。それは本居宣長翁の弟子の石塚龍麿《いしづかたつまろ》という遠江《とおとうみ》の学者であります。この人が仮名の用法を調べた結果が二つの書物となって現れております。その一は『古言清濁考《こげんせいだくこう》』であって、これは享和《きょうわ》元年に版になっております。もう一つは『仮名遣奥山路《かなづかいおくのやまみち》』で、これには寛政《かんせい》十年の序があります。『古言清濁考』は木版の三冊の書物になっておりますから、これはちょいちょい見ることが出来ます。『仮名遣奥山路』は写本で伝わっておるのでありまして、『古言清濁考』の方が先に出来て『仮名遣奥山路』の方が後に出来たものであります。『古言清濁考』には宣長の序文が附いております。
この龍麿の研究は、やはり宣長翁の研究が土台に
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