予が半生の懺悔
二葉亭四迷
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)寧《いっ》そ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|馬《ば》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)益※[#二の字点、1−2−22]迫って
−−
私の文学上の経歴――なんていっても、別に光彩のあることもないから、話すんなら、寧《いっ》そ私の昔からの思想の変遷とでもいうことにしよう。いわば、半生の懺悔《ざんげ》談だね……いや、この方が罪滅しになって結句いいかも知れん。
そこでと、第一になぜ私が文学好きなぞになったかという問題だが、それには先ずロシア語を学んだいわれから話さねばならぬ。それはこうだ――何でも露国との間に、かの樺太千島《かばふとちしま》交換事件という奴が起って、だいぶ世間がやかましくなってから後、『内外交際新誌』なんてのでは、盛んに敵愾心を鼓吹する。従って世間の輿論は沸騰するという時代があった。すると、私がずっと子供の時分からもっていた思想の傾向――維新の志士肌
次へ
全19ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
二葉亭 四迷 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング