、、ネそうでしょう、オホホホ。当ッたもんだから黙ッてしまッて」
「そんな気楽じゃ有りません。今日母の所から郵便が来たから読《よん》で見れば、私のこういう身に成ッたを心配して、この頃じゃ茶断して願掛けしているそうだシ……」
「茶断して、慈母さんが、オホホホ。慈母さんもまだ旧弊だ事ネー」
 文三はジロリとお勢を尻眼《しりめ》に懸けて、恨めしそうに、
「貴嬢《あなた》にゃ可笑《おか》しいか知らんが私《わたくし》にゃさっぱり可笑しく無い。薄命とは云いながら私の身が定《きま》らんばかりで、老耋《としよ》ッた母にまで心配掛けるかと思えば、随分……耐《たま》らない。それに慈母さんも……」
「また何とか云いましたか」
「イヤ何とも仰《おっ》しゃりはしないが、アレ以来始終|気不味《きまず》い顔ばかりしていて打解けては下さらんシ……それに……それに……」
「貴嬢《あなた》も」ト口頭《くちさき》まで出たが、どうも鉄面皮《あつかま》しく嫉妬《じんすけ》も言いかねて思い返してしまい、
「ともかくも一日も早く身を定《き》めなければ成らぬと思ッて、今も石田の所へ往ッて頼んでは来ましたが、シカシこれとても宛にはならん
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