tのようにお成り被成《なされ》候ように○○《どこそこ》のお祖師さまへ茶断《ちゃだち》して願掛け致しおり候まま、そなたもその積りにて油断なく御奉公口をお尋ね被成度《なされたく》念じ※[#「参らせ候」のくずし字、103−14]《まいらせそろ》。
[#ここで字下げ終わり]
 文三は手紙を下に措《お》いて、黙然《もくぜん》として腕を拱《く》んだ。
 叔母ですら愛想《あいそ》を尽かすに、親なればこそ子なればこそ、ふがいないと云ッて愚痴をも溢さず茶断までして子を励ます、その親心を汲分《くみわ》けては難有泪《ありがたなみだ》に暮れそうなもの、トサ文三自分にも思ッたが、どうしたものか感涙も流れず、唯|何《なに》となくお勢の帰りが待遠しい。
「畜生、慈母《おっか》さんがこれ程までに思ッて下さるのに、お勢なんぞの事を……不孝極まる」
 ト熱気《やっき》として自ら叱責《しか》ッて、お勢の貌《かお》を視るまでは外出《そとで》などを做《し》たく無いが、故意《わざ》と意地悪く、
「これから往って頼んで来よう」
 ト口に言って、「お勢の帰って来ない内に」ト内心で言足しをして、憤々《ぷんぷん》しながら晩餐《ばんさん》
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