が引写にしたればとて其神を伝んは難し。小説を編むも同じ事也。浮世の形を写すさえ容易なことではなきものを況《まし》てや其の意をや。浮世の形のみを写して其意を写さざるものは下手の作なり。写して意形を全備するものは上手の作なり。意形を全備して活たる如きものは名人の作なり。蓋し意の有無と其発達の功拙とを察し、之を論理に考え之を事実に徴し、以て小説の直段《ねだん》を定むるは是れ批評家の当に力むべき所たり。
[#地付き](明治十九年四月「中央学術雑誌」)
底本:「平凡・私は懐疑派だ」講談社文芸文庫、講談社
1997(平成9)年12月10日第1刷発行
底本の親本:「二葉亭四迷全集」筑摩書房
1984(昭和59)年11月〜1991(平成3)年11月
入力:長住由生
校正:はやしだかずこ
2000年11月8日公開
2006年3月29日修正
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