「、部屋の壁紙の色が望み通りの氣分を出してゐなかつた、ノラの手が適當な形をしてゐなかつた、といふやうな不滿足な點を擧げてゐたといふ。
なほ同年中にドイツのハムブルヒ、ドレスデン、ハノーヴェル、ベルリン等でこの劇が演ぜられ、それでノラを演じたヘドヴ※[#小書き片仮名ヰ、149−8]ヒ・ニーマン・ラアベ(Frau Hedwig Niemann−Raabe)は、ベルリンのドイツ座にゐたアグネス・ゾルマ[#「ゾルマ」は底本では「ブルマ」](Fau Agnes Sorma)に先だつてドイツにおける最代表的なノラの女優となつた。
ヴ※[#小書き片仮名ヰ、149−11]インでは千八百八十一年九月はじめて演ぜられた。ロシアでは有名な女優モッヂェスカ(Madame Modjeska)によつて千八百八十一年十一月ペテルスブルグで、また翌年ポーランドのウォルソウで初めて演ぜられた。ハンガリーのブダペストでは千八百八十九年初演、オランダのアムステルダムでも同年初演、ベルギーのブリュッセルでも同年初演、但しこれがフランス語で演ぜられた最初で、結末はめでたい方に變更せられてゐた。パリーで『人形の家』が公演せら
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