テンボルグ家の三人の子供
醫師ハンク
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これで見ると、主人公のヘルマーといふ名はまだこの腹案には出てゐない。却つて領事の名が主人公の名になつてゐる。筋書及び草案のそれが第三幕からヘルマーといふ名に變つてゐる。
リンデン夫人もリンドといふ名で、夫人だか、未亡人だか、娘だかまだ定まつてゐない。醫師ランクは醫師ハンクとなつてゐて、草案の第二幕からランクとなつてゐる。そこでこの人名の次に三幕にわけた略筋があり、それから本文の草案になつてゐるのであるが、略筋によると、第一幕では、重大な色どりになる醫師ランクがまだ出てこないで、第二幕から出てくる。草案ではもう第一幕から現はれる。またノラがパン菓子を喰ふことは略筋にも草案にもない。從つてこの劇の第一幕で最も輕快な味のある場面、ノラがリンデン夫人とランクを相手に「ランク先生、パン菓子を召し上りませんか」とその口に菓子を入れてやる邊から、「馬鹿つ? と言つたらどんなにいい氣持でせう?」のところなどが草案にはまだ全く缺けてゐる。
九
また『人形の家』の色彩の中心になつてゐるタランテラ踊(タランテラ踊はイタリ
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