のようなことを考えていた。とにかく、三人は朝の光を浴びて囲炉裡の辺に坐って黙っていた。こうした場合に何か言い得るものは魂なき無生物のみである。
「時ちゃん、お茂ちゃん、起きないの。もう遅いのよ、お茂ちゃん! 時ちゃん!」
お幸の円い厚みのある声が店の方で聞えた。
「米子ちゃん、市子ちゃん、こら、お臀をこんなに出して、夜中に誰かが持っていったらどうするの。お起きなさいよ、こら!」ぴた/\小さい妓等の臀を叩くらしい音と、寝ぼけざましの哄笑が一斉に聞えた。店の女達はみな眼をさました。
「時ちゃん、自分の床だけは上げるといいわ」
「はい/\」
「昨夜はおかしな夢ばかり見ていたっけ」
「鶴子さんの夢なら大抵知れていますわ」
「そうでしょうよ――可愛いい男の夢ですよ」
お幸がふだんの意気な単衣に博多の下帯をしめて、楊枝を使いながら出て来た。怜悧な彼女のよく動く生き生きした眼が、お光の上にじっと暫く止まっていたが、説明を求めるように冬子の方へ向いた。冬子はそのお幸の眼が嫌いでならなかった。怜悧な打算強いその眼、男が一度その眼にうたれてすぐある誘惑を胸に連想するようなその眼、冬子にはその眼が嫌いで
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