えて置かないと後で困りますよ。――それじゃ天野さんによろしく。ほう、天野さんのお世話で、大河君というのですね」
田中は一礼して高等学部の建物の中へはいって行った。平一郎はしばらく朝の光のうららかさに浸ってひらかれた新しい世界の風光に見とれて、自分がこの世界で生活することが出来るのだという喜悦に充たされた。
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若き生命《いのち》の朝ぼらけ……
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テニスコートの方で西洋の少女と学生の合唱が聞えて来た。彼はかくて四月十日に基督教主義のM学院普通部五年生として登校することになった。
平一郎を囲繞《いにょう》する不可解な根深い煩いに圧倒されるには余りに彼の生命の力は若く強い。彼の生命が地上へ出現しない以前から待ち設けられていた運命の重負と不可思議が彼を陰鬱に引き入れようとしても、彼にはそれと戦う力がある。彼は煩わしい自分の根深い環境の圧迫に打ち克ち、理由なしに湧く暗い不安と混迷とを征服しようとした。彼の前にあたらしい学校生活が待っていた。ともすれば内と外から圧倒する滅却の力と戦い、自分の使命を成長させるにそれは有効だった。学校がなかったら滅びた
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