《ばつく》与楽《よらく》の説法《せつぱう》を疑《うたが》ふ事なく一図《いちづ》に有《あり》がたがツて盲信《まうしん》すれば此世《このよ》からの極楽《ごくらく》往生《おうじやう》決《けつ》して難《かた》きにあらず。銀価《ぎんか》の下落《げらく》を心配《しんぱい》する苦労性《くらうしやう》、月給《げつきふ》の減額《げんがく》に気《き》を揉《も》む神経《しんけい》先生《せんせい》、若《もし》くは身躰《からだ》にもてあます食《しよく》もたれの豚《ぶた》の子《こ》、無暗《むやみ》に首《くび》を掉《ふ》りたがる張子《はりこ》の虎《とら》、来《きた》つて此|説法《せつぱう》を聴聞《ちやうもん》し而してのち文学者《ぶんがくしや》となれ。朝飯前《あさめしまへ》の仕事《しごと》にして天下《てんか》を驚《をどろ》かす事|虎列刺《コレラ》よりも甚《はなは》だしく天下《てんか》に評判《ひやうばん》さる※[#二の字点、1−2−22]事|蜘蛛《くも》男《をとこ》よりも隆《さか》んなるは唯其れ文学者あるのみ[#「文学者あるのみ」に傍点]、文学者あるのみ[#「文学者あるのみ」に傍点]。



底本:「日本の名随筆60 
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