文学者《ぶんがくしや》を一時《いちじ》に殺戮《さつりく》すれば其|死屍《しゝ》は以て日本海《につぽんかい》を埋《うづ》むべく其|血《ち》は以て太平洋《たいへいよう》を変色《へんしよく》せしむべし。
文学者《ぶんがくしや》は一の社会問題《しやくわいもんだい》なり、貧民《ひんみん》が、僧侶《ばうず》が、娼妓《しやうぎ》が社会問題《しやくわいもんだい》となれる如く。
熟々《つら/\》考《かんが》ふるに天《てん》に鳶《とんび》ありて油揚《あぶらげ》をさらひ地《ち》に土鼠《もぐらもち》ありて蚯蚓《みゝず》を喰《くら》ふ目出度《めでた》き中《なか》に人間《にんげん》は一日《いちにち》あくせくと働《はたら》きて喰《く》ひかぬるが今日《けふ》此頃《このごろ》の世智辛《せちがら》き生涯《しやうがい》なり。学校《がつこう》の卒業《そつげふ》証書《しようしよ》が二|枚《まい》や三|枚《まい》有《あ》つたとて鼻《はな》を拭《ふ》く足《たし》にもならねば高《たか》が壁《かべ》の腰張《こしばり》か屏風《びやうぶ》の下張《したばり》が関《せき》の山《やま》にて、偶々《たま/\》荷厄介《にやつかい》にして箪笥《たんす
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