ときものになっていねばならぬのが道徳というものならば、道徳は人間を絞め殺す道具だ。二人は互いに手をとって涙の糸をより合わせ、これからさき神の恵みに救われるような事があったらば、互いに持った涙の繩を結び合わせようと約束した。
この事あった翌々日、おとよさんは里へ帰ってしもうた。そうしてついに隣へ帰って来なかった。省作もいったん養家へいったけれど、おとよさんとのうわさが立ったためかついに破縁になった。
[#地から1字上げ](明治四十一年一月)
底本:「野菊の墓」集英社文庫、集英社
1977(昭和52)年9月20日第1刷発行
1981(昭和56)年7月30日第6刷発行
初出:「ホトトギス」
1908(明治41)年2月号
入力:網迫、大野晋
校正:林 幸雄、富田倫生
2008年10月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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