姪子
伊藤左千夫
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)麦搗《むぎつき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二丁|許《ばか》り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から2字上げ](明治四十二年九月)
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麦搗《むぎつき》も荒《あら》ましになったし、一番草も今日でお終《しま》いだから、おとッつぁん、熱いのに御苦労だけっと、鎌を二三丁買ってきてくるっだいな、此《この》熱い盛りに山の夏刈《なつがり》もやりたいし、畔草《あぜくさ》も刈っねばなんねい……山刈りを一丁に草刈りを二丁|許《ばか》り、何処《どこ》の鍛冶屋《かじや》でもえいからって。
おやじがこういうもんだから、一と朝起きぬきに松尾へ往《い》った、松尾の兼《かね》鍛冶が頼みつけで、懇意だから、出来合があったら取ってくる積りで、日が高くなると熱くてたまんねから、朝飯前に帰ってくる積りで出掛けた、おらア元から朝起きが好きだ、夏でも冬でも天気のえい時、朝っぱらの心持ったらそらアえいもんだからなア、年をとってからは冬の朝は寒くて億劫《おっくう》になったけど、其外
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