ドンらは海ひょうの皮をはいでその肉を六七百匁ほどの大きさに切り、どしどしなべにほうりこんだ。
「やあやあ、くさいくさい」
年少組は鼻をつまんで逃げだした。
「しんぼうしたまえよ」
やがてあわだつ湯玉《ゆだま》の表面に、ギラギラと油が浮いてきた。
「さあさあくみだせくみだせ」
一同は肉をなべにほうりこんでは、ひしゃくをもって油をたるにくみだした。それは一分一秒も休息するまがないほどの、いそがしさであった。三十頭の海ひょうを煮《に》て、数百ガロンの油をとりおわったときに、春の日もようやく西にかたむいて、天《そら》には朱《しゅ》のごとき夕焼けの色がひろがりだした。それはあすの快晴を予報するものであった。
徳と才
千八百六十一年の新年がきた。南方の一月は夏のさなかである。指おり数うれば少年らが国を去ってからはや十ヵ月がすぎた。故郷へ帰りたさは胸いっぱいであるが、救いの船が来なければ帰るべきすべもない。
またしても第二の冬ごもりの準備をせねばならなくなった、だがかれらはもう十分に経験をなめたので、すべての仕事はぬけめなく運んだ。まず家畜小舎《かちくごや》を洞《ほら》の近く
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