として、もしこの地が大陸につづいているなら、かれはここに長くとどまらずに、もっともっと内地のほうへ進んでゆきそうなものだ、それもせずにここで死んだのは、この地がはなれ島であるしょうこでなかろうか。
この人さえも救いをえずに、ここで死んだとすれば、ぼくらもとうてい救われる道はあるまい。
四人はふたたび洞穴へかえって、いま一度、内部をくわしく検査することにした。洞穴の四方の壁は花崗岩《かこうがん》で、すこしの湿気《しっけ》もなく、また海からの潮風もふせぐことができる、内部は畳数《たたみかず》二十三枚だけの広さだから、十五人の連盟《れんめい》少年を、いれることができる。
一同はそれから、すみずみからいろいろな器具を発見した、そのうちにドノバンが夜具《やぐ》をうちかえすと、一さつの手帳があらわれた。
「やあ、これはなんだろう」
サービスは顔をよせて、手帳をのぞいた。
「なんだかわからない字だ」
「エジプトの字だよ」
「支那《しな》の字だ」
三人がののしりさわぐのをきいて、富士男もそばによった。
「なんだろう、これは」
「どれどれ」
富士男は手帳をちらと見た。
「やあ日本の文字だ」
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