くが逃走《とうそう》のとき、かれは追跡《ついせき》発砲しているのです」
 とイバンスはケートのことばを一|蹴《しゅう》した。
 少年たちはじゅうぶん用意をととのえて、敵のくるのを待ちうけた。幼年組はほとんど川辺にさえ出ないで、左門洞で息ぐるしい日をくらした。
 数日は経過したが、海蛇《うみへび》たちは、ひとりとしてすがたをあらわさなかった。
 イバンスはじめ少年たちは、これをふしぎに思っていたが、ある日、イバンスはこつねんとしてゴルドン、富士男、ドノバンをまねいて語った。
「かれらがすがたをあらわさないのは、かれらの作戦である。かれら一味は、ケートさんやぼくが、きみらといっしょにいると思わないから、諸君がかれらの漂着《ひょうちゃく》したのをまだ知らないつもりでいる。そのうちかれらのひとりが漂流者《ひょうりゅうしゃ》のごとくよそおって左門洞にきたり、助けをもとめて洞のなかにはいり、すきをうかがって戸を内からひらいて一味をみちびき、労《ろう》せずしてこの洞を占領《せんりょう》するつもりであると思う」
「そのときにはどうするか?」
「そのときには間者《かんじゃ》をみちびきいれて逆襲《ぎゃくし
前へ 次へ
全254ページ中225ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング