のご主人たちに対して行なったように、皆殺しにしようというのです、やつらに慈悲心《じひしん》を求めるのは愚《ぐ》の骨頂《こっちょう》です!」
 とイバンスがいった。
 一同は肌《はだえ》にあわつぶの生ずる恐怖《きょうふ》におそわれた、たがいに手と手をつないで、かたくにぎった。
「なにか物音がしなかった?」
 とイバンスが戸のほうを見た。
「いいえ、なにも、だいじょうぶです」
 と戸をまもるモコウがいった。
 雨はいぜんとして降りしきり、強風はものすごい音をたててふきすさぶ、あかりがチロチロとまたたく、夜はふけた、イバンスの奇々怪々《ききかいかい》な物語はいつはてるともしれない。

     敵襲《てきしゅう》

 イバンスがしずかにブランデーのコップをとりあげて、長物語にかわいたくちびるをぬらしている口元を見つめていた富士男は、
「しかし、どうして海蛇《うみへび》たちの毒手をのがれたのです」
 ときいた。
「そこだ、けさ海蛇《うみへび》たちはホーベスと、鉄砲玉《てっぽうだま》のロックにぼくの番を命じて、諸君らの動静《どうせい》をさぐりに出てしまった。ぼくは逃走の好機|到来《とうらい》と心
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