をひそめさせたのは、幼年組のコスターが、熱病におかされたことであった。熱に浮かされて故郷の夢を見るのか、ひからびた口を開いては、父母の名をよび、一同はかなしく首をたれた。
「このまま死なしては、ぼくは、どんな顔をしてかれの父母にまみゆることができよう」
 次郎はかたときも枕頭《ちんとう》をはなれず、コスターの看病《かんびょう》に寝食《しんしょく》を忘れた。ゴルドンはサクラ号にそなえてあった薬を、あれこれと調剤《ちょうざい》した、だが医学の知識が十分でないかれは、病名のわからない熱病に対して、ききめのある薬を調合《ちょうごう》することができない。心ははやるけれど、手はその十分の一も動かない。ただ、苦しむ病人をぼうぜんと見まもるばかりで、手のほどこしようもない。
「けっして心配はいりません、わたくしがどんなことがあっても、なおしてみせます」
 ケートは医薬のたりないところを、愛情と親切をもって、まるで自分の子どもであるように、昼夜《ちゅうや》をわかたず看病《かんびょう》した、このゆきとどいた慈母《じぼ》の愛は、かれんな病人にとっては、医薬よりもなによりもまさるものであった。ケートの愛情はコ
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