のように胸から胸へつたわった、快活だった次郎が、急に陰気な子になったことも、いつも困難な仕事はまっさきにひきうけたことも、みずから一身をなげうつ冒険にのりだしたことも、おかした罪の万分の一でも、つぐなおうとしたのだ、こう思うと一同は次郎の心根《こころね》がいじらしくもあり、かわいらしくもある。
「次郎君は二年間の良心のかしゃくで、すでにその罪はつぐなわれている、そればかりではない、次郎君は危険な仕事があるたびに、みずから喜んであたってくれた、富士男君、ぼくはいまはじめてきみの高潔《こうけつ》な心を知った、きみがつねに冒険をひきうけたのは、弟をかばうあたたかい心からだったのだ」
「そうだ、ぼくらは次郎君を罰《ばっ》することはできない」
 一同がさけんだ。
「次郎君! 元気を出したまえ」
 とドノバンが次郎の手をとった、一同は次郎を助けおこそうとしたが、次郎は両手で顔をおおってはなそうとしない。
「みなさん、ぼくにこの大任をあたえてください」
 こういうとかれはすばやく身をみるがえして、かごのそばへ走った、そして土袋《つちぶくろ》をとりだすと、なかへ身をおどらした。
「次郎、待て、ぼくが乗
前へ 次へ
全254ページ中186ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング