れんよ」
とドノバンがいった。
「そうだ、そしていまケートおばさんがとらえられたようになったら……」
と富士男がいうのを、おしとめるようにしてケートがさけんだ。
「わたしは息のつづくかぎり、けっして悪漢どものとりこにはなりません」
「おばさんがぼくらのことを思ってくださるのは、ありがたいです、ですがいま、みすみすおばさんを悪漢どもの手にまかせることはできない、ね、ゴルドン君、ぼくはおばさんに、この冒険《ぼうけん》は思いとまってもらいたいと思うが……」
「そうだ、おばさんは、ぼくらのお母さんの役目をまもっていただきたいと思います」
とゴルドンがいった。
「あせることはないんだ他《ほか》に方法はいくらでもある」
と富士男は考え深そうにいった。
不安のうちにも平和な日はつづいた。だが少年の心は変化を喜ぶ、むやみに広場で遊ぶことを禁じられ、唯一《ゆいつ》の楽しみである鉄砲で鳥をいることも禁じられている、それは一つの発砲で、悪漢どもに知られたくないからだ、春の日がかがやくのに、くる日もくる日も洞穴のなかで暮らさなければならない。ただときおり、だちょうの森にかけたなわに、えものがかかるの
前へ
次へ
全254ページ中175ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング