してすがたを見せないと、完全した歯が一|朝《ちょう》にしてぬけおちたようで、なにかたよりない、しっくりと気持ちのあわない空気を感じる。
 春色は日ましにこくなるに、一同は毎日うつうつとして楽しむふうもない。富士男はこれを見るのがなによりもつらかった。
「もっとほかにいい方法がなかったろうか、もっと考慮すべきではなかったろうか」
 こう思うと、一時の激情《げきじょう》にかられて、四人を除名《じょめい》したことが、深くくいられてならなかった。日ごとの煩悶《はんもん》はかれの血色のいい頬《ほお》をあおくした。いつも清くすんだ眼は悲しみにくもった。
「おい、富士男君! なにをぼんやりしているんだい、こんなすてきなニュースがあるのに……」
 と、ゴルドンがニコニコして、富士男のかた先を軽くたたいた。かれは富士男の苦悩《くのう》は十分に推察《すいさつ》した、けれど、責任者の地位にあるふたりが、しずんだ顔色を一同に見せては、連盟の士気がいよいよ沮喪《そそう》してしまう。その結果は重大である。こう思ったかれはむりにもはればれと元気を出した。
「モコウのやつがとてもこっけいなんだよ」
「どうして?」
 
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