げにいった。
「そうだそうだ。ぼくらはかれを働かしてやるのだから、感謝されこそすれ、こちらから頭をさげることはいらない」
 とウエップがいった。
 ぼくはあまり感心しなかったが、衆議《しゅうぎ》にしたがうことにした。
「では第二案として、左門洞に帰るまえに、ぼくらは浜辺にそって、島の北部を探征《たんせい》することを提議《ていぎ》する。たとえ荷物をとりに帰るとしても、ぼくらはなにか一つてがらをたてておきたいからだ、諸君はどう思う」
「そりゃすばらしい計画だ」
「左門洞の一同の鼻をあかすに、絶好の計画だ」
 衆議は一決した。いよいよ探検するとなれば、往復に少なくとも三日の日数をついやさねばならない、十分なる睡眠《すいみん》と、英気を養うために、早目に寝につく。
 十月十四日、未明の空にはなごりの星があわく光っていた、太陽はまだあがらない。黄卵色の雲が東の空に浮いていた。清涼な風が身をひきしめてすがすがしい。ぼくらは第二の探検地、北方をさしてすすんだ。およそ四キロメートルばかりのあいだは、浜辺一帯の岩つづきで、ただ左手の林ぎわのほうに、はば三十メートルばかりのひとすじの砂道がのこっている。岩
前へ 次へ
全254ページ中135ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング