たのだった。この命令をうけたとき、モコウは首を横にふった。
「ご主人、こればっかりはおことわりします。ほかの人にやらせてください」
「なぜだ?」
「黒ん坊のボートで川を渡ったとなればかれらの恥でしょうし、あんなにご主人を侮辱《ぶじょく》したやつには、力をかしてやる理由がありません」
「モコウ、きみは私事と公事とを混用《こんよう》している、たとえかれらがぼくを侮辱したところが、それは小さな私事なのだ。私事のためにかれらに難儀《なんぎ》をかけることは恥《は》ずべきことだ、ぼくは連盟の大統領の職責から命じるのだ」
「わかりました。ですがご主人、わたしはかれらと一言もことばをかわしたくないと思いますが、これだけはゆるしてください」
「ハハハ、そりゃきみの自由だ」
 大統領の命令ならそむくわけにはゆかない。彼はいさぎよく渡川の任務をひきうけたのだった。
 ボートは川岸をはなれた。川霧はまったく晴れてオールに破れた川面《かわも》が、小波《さざなみ》をたてて、日にキラキラと光った。モコウは黙々としてオールをあやつり、黙々として四人を川岸にあげ、そして黙々としてこぎ帰った。
 一行四人のその後の行動は
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