のだ。だが、それは理由のおもなるものではない。淡白《たんぱく》に直言《ちょくげん》すれば、ぼくらは富士男君の治下に立つことが不満でならないのだ」
 三人が待ちかまえていたように拍手《はくしゅ》をした。重苦しい空気が室にみなぎった。黙然《もくねん》と腕をくんできいていた富士男はこのとき、しずかに立ちあがった。
「四君がぼくに対して不満であるのはどんな理由からだろう」
「なんの理由もない、ただ、きみには連盟の首領たるべき権利がないと思うのだ。ぼくらはみんな白色人種である。連盟は白色人種が多数だ。それなのに、有色人種が大統領になって采配《さいはい》をふる、次回にはモコウ、すなわち黒人の大統領ができるだろう」
「そうだ、ぼくらは野蛮人《やばんじん》の命令に服することは恥辱《ちじょく》だ」
 グロースがドノバンに加勢した。
 この暴言《ぼうげん》は温厚《おんこう》のゴルドンをいからした。
「ドノバン、きみはまじめにいってるのか」
「もちろん、ぼくはまじめだ。真実のことをいってるのだ、ぼくら四人は黄色人種の治下に甘んじて忍従《にんじゅう》することはできないのだ」
 けわしい空気が室に充満《じゅうま
前へ 次へ
全254ページ中124ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング