「異議《いぎ》がある」
とドノバンはさけんだ。
「なんだ」
とサービスがいった。
「富士男君はカンニングをやった」
「そんなことはない」
「いやカンニングだ」
ドノバンはまっかになってサービスをどなった。
「どうしてカンニングというか」
「富士男君はラインの外に足をふみだした」
「それはきみの見あやまりだ、富士男君は一歩も足をふみださない」
「いやふみだした」
ふたりの争いがあまりにはげしくなるのを見て富士男は前へすすみでた。
「ドノバン君、こんなことは遊戯だからどうでもいいけれども、しかしカンニングで勝ったと思われては人格上の問題になるから、それだけは弁明《べんめい》しておくよ、僕はけっしてラインをわらなかったよ」
「いやわった」
「ではくつのあとと白墨《はくぼく》の線とを見てくれたまえ」
「そんなものは見んでもわかってる、きみは卑劣《ひれつ》だよ」
「卑劣? そんなことばがきみの口から出るとは思わなかったね」
「卑劣だ、いったいジャップは卑劣だ、なんだ有色人種のくせに」
ドノバンはペッと大地につばをはいた。富士男の顔はさっとあからむとともに、そのいきいきとした大和民族《や
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