してきた。一点また一点、双方が五点ずつとなった、しかも残ったのは両軍ともひとりずつすなわちドノバンと富士男の一|騎打《きう》ちである。
「ドノバン、しっかりたのむよ、負けたらたいへんだ、どうだね」
 ウエップはむちゅうにさけんだ。
「だいじょうぶだよ、ぼくの手並みを見ておれ」
 ドノバンはどんな小さなことでも他人に負けるのがきらいであった。それだけかれは不屈不撓《ふくつふとう》の気魄《きはく》をもっているのだが、ときとして負けるのがいやさにずいぶん卑劣《ひれつ》な手段《しゅだん》を用うることがある。
 かれは輪に手を持ったまま、きっとくちびるをむすんで鉄の棒をにらんだ。もしかれが勝負を度外においてただ遊戯本位に考えをまとめ、負けてもきれいに負けようという気になって胸をしずめたなら、十分に成功したかもしれないのであった。負けたくない負けたくないといういらいらした気分が頭にせりあがるために、かれの神経《しんけい》はつりあいを失いねらいを正確に定めることができなかった。
 かれは矢声《やごえ》をはなって輪を投げた、輪はくるくると旋回《せんかい》して棒の頭にはまらんとしてかすかにさすったまま地
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