エップは寒暖計《かんだんけい》晴雨計《せいうけい》の主任《しゅにん》となり、一同の身神《しんしん》をなぐさむるためにガーネットは音楽の主任となって、ハーモニカを鳴らすこととなった。
こういう余興係《よきょうがかり》には、いたずらずきの次郎がまっさきにひきうけねばならぬはずだが、次郎はなぜかいぜんとして沈欝《ちんうつ》な顔をしているので、他の人々もしいてすすめなかった。
六月の下旬《げじゅん》になると寒暖計はしだいにくだって、零点以下《れいてんいか》十度ないし十二度のあいだを上下するようになったが、しかし洞内《どうない》にはまきの貯蓄《ちょちく》が十分であったから、さまでの苦しみもなかった。
が、ここに一つの難事が出来《しゅったい》した、それは雪が深くなるにつれて、年少組は川へ水をくみにゆくことができなくなったことである。ゴルドンは思案《しあん》にあまって、まず第一に工学博士に相談をした。少年たちはたわむれにバクスターに、工学博士の称《しょう》をたてまつったのである。
「よしよし考えてみよう」
バクスターは研究に研究をかさねた結果、地中に管《くだ》をうずめて、川から水をひくことにした。かれはサクラ号の浴室にそなえてあった、鉛管《えんかん》を利用した。
つぎにモコウは、一生けんめいに動物やさかなの料理をするたびに、その脂肪《しぼう》を貯蓄したので、燈火の油に不足の心配はなくなった。
しかしただ心配なのは食料の欠乏である、雪が吹きすさんで猟《りょう》に出ることもできないので、用意の食料は日に日にへる一方である。モコウが倹約《けんやく》に倹約をかさねてたくわえたかも、しちめんちょうの肉、塩づけのさかな、サクラ号から持ってきたかんづめ類も、今後どれだけのあいだつづくか、はかることができない。のみならず、十歳から十六歳までの少年である、胃袋《いぶくろ》はおとなよりもすこやかに、食うことにかけてはことごとく豪傑《ごうけつ》ぞろいだからたまらない。
なおそのうえにやっかいなのは、サービスが生けどっただちょうである。だちょうの大食は少年にまさること数等《すうとう》である、かれのために少年たちは、毎日その食料たる木の根や、生草《なまくさ》を、雪深くほらねばならなかった。これには一同へいこうしてサービスにいった。
「おい、いいかげんにして、だちょうをしめて食おうじゃないか」
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