類一式。
毛布、綿、フランネル、大小ふとん、まくら。
晴雨計二、寒暖計一、時計二、メガホン三、コンパス十二、暴風雨計《ぼうふううけい》一、日本国旗と各国旗|若干《じゃっかん》、信号旗一式、大工道具《だいくどうぐ》、はり、いと、マッチ、ひうち石、ボタン。
ニュージーランド沿岸《えんがん》の地図、世界地図、インキ、ペン、鉛筆《えんぴつ》、紙、ぶどう酒。
英貨《えいか》若干《じゃっかん》。
正午《ひる》ごろにモコウは、幼年組をつれて、たくさんの貝を拾って帰ってきた、モコウの話によると、岩壁《がんぺき》のところに、数千のはとが遊んでいるというので、猟《りょう》じまんのドノバンは、あす猟にゆくことにきめた。
この夜は、バクスターとイルコックが、甲板《かんぱん》に見張りした。
そもそもこの地は、はなれ島であるか、大陸つづきであるか、それをきわめることがもっともたいせつである。富士男は毎日その研究に没頭《ぼっとう》していたが、ある日ゴルドン、ドノバンのふたりにこういった。
「どう考えてもここは熱帯地でないように思う」
「ぼくは熱帯だと思うが、きみはなんの理由でそんなことをいうか」
と例のドノバンは、まず反対的態度《はんたいてきたいど》でいった。富士男は微笑しながら、
「ここには、かしわ、かば、まつ、ひのき、ぶなの木などが非常に多い、これらの樹木は太平洋中の赤道国《せきどうこく》には、ぜったい見ることができない樹木だ」
「それじゃどこだというのか」
「まつ、ひのきのほかの木がみな、落葉したり、紅葉したりしてるところを見ると、ニュージーランドよりも、もっと南のほうの高緯度《こういど》だろうと思う」
「もしそうだとすると」とゴルドンは、双方《そうほう》の争《あらそ》いをなだめながら、
「冬になるとひじょうに寒くなるだろう、いまは三月|中旬《ちゅうじゅん》だから、四月の下旬までは好天気がつづくだろうが、五月(北半球の十一月)以後になると、どんなに気候が変わるかもしらん。そうすると、とてもぐずぐずしていられない、おそくとも六週間以内にはこの地を去るとか、ただしは冬ごもりをするかを、きめなければならん」
いかにもゴルドンの心配は、むりからぬことである。さすがのドノバンも、だまってしまった。
いまは、一日のゆうよすべきばあいでない、富士男は毎日、丘にのぼって、四方を展望《て
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